耳鳴りの原因は脳にある! 補聴器購入で医療費控除の対象になる!
今現在、耳鳴りの推定患者数は人口のおよそ15%~20%に上ります。
耳鳴りとは「実際に音が鳴っていないのに音を感じてしまう現象」です。
原因は、耳(内耳)の異常により起こると考えらえていたが、最近では難聴により脳に伝わる音が減るために、脳が音をキャッチしようと過剰に働くことで起こるという見解があります。
通常、耳から入った音は、内耳の蝸牛(かぎゅう)という部分で電気信号に変換され、聴神経を通って脳に伝わっていきます。しかし、難聴になると脳に音が伝わらなくなります。
耳鳴りの患者数は65歳以上の高齢者が多くなる傾向があります。
耳鳴りがあると、耳が聞こえなくなるのでは?と心配になるかと思いますが、実際はその逆です。耳鳴りが難聴の原因になるのではなく、難聴があるから耳鳴りが起こるのです。
難聴の対処はやはり補聴器です。先天性の病気や中耳炎、加齢などいくつか原因はあり、治療で改善するものもあるが、補聴器を装用して聞こえを補うことが一般的です。難聴を放置すると、コミュニケーションが減ってしまうので、うつや認知機能の低下につながっていくと言われています。
ただ、補聴器は、つければすぐに聞こえるようになるわけではないのです。聴力に合わせて正しく調整をして、脳を補聴器による聞こえに慣らすための練習が必要になってきます。
そして補聴器を装用するために一番大切なことは、補聴器に関する専門的な知識と技能を持つ補聴器相談医を受診し、診療情報提供書を発行してもらうことです。
この診療情報提供書は、補聴器装用に必要な患者さんの診療情報をまとめた書類で補聴器の調整をおこなう認定補聴器技能者との連携において重要な役割を持っており、提供書の活用で補聴器を購入する際に医療費控除が受けられるようになります。
一方で耳の形や病気などにより補聴器をつけることができない方や補聴器を使っても聴力が改善しない方には、骨固定型補聴器や人工中耳、人口内耳などを検討する選択肢もあります。
現在、日本で耳鳴りの治療といえば薬による治療がもっとも多いです。しかし、耳鳴りへの効果は確実ではないようです。
耳鳴診療ガイドラインによると、推奨されている治療法は、難聴がある場合には補聴器の装用が有効とされている。不足している音が脳に届くことで脳の過剰な興奮を抑える効果や、耳の聞こえがよくなることで、耳鳴りの音が気にならなくなる効果が期待できるということです。
補聴器が不要な軽度難聴では、専用の機器で耳鳴りより少し小さい音や環境音楽を流すことで耳鳴りを減らす「音響療法」という治療方法もあるそうです。
治療の効果が得られるまでには短くても3か月~半年かかります。2年ほどかかった方もいます。何回か病院に通っただけでは治らないからといってあきらめてしまっては、いつまでも改善しません。治るために根気強く通い続けることが大事です。
耳鳴りに対する不安や苦痛がある方はカウンセリングや耳鳴りへの考え方を変える認知行動療法もありますので、まずは治療への第一歩を踏み出しましょう。